onothunder’s diary

ゲームの感想ブログです。括弧内はレビューを書いた年月日です。ないものに関しては現在書いた記事です。

マリカ 〜真実の世界〜 シナリオ面についての感想

このゲームは、主人公のまりかがお使いで頼まれた牛肉を、ゾンビ犬に奪われるという冒頭のシーンがインパクトある。普通そんな怪しい犬追いかけないだろって思うけど、廃工場まで追っていく。肉への執念がある。

廃工場内で、ゾンビ犬と大怪我をした男を発見する。テロ組織を裏切って追われている身らしい。虫の息の男は、茨博士という人物にディスクと増幅バルブを渡してほしいとまりかに託す。ただ、既に廃工場内には追手が潜んでいて、その様子を見られてしまっていた。虫の息の男が身を挺してまりかを逃してくれるものの、その際に学生証を落としてしまう。

ということで、まりかはテロ組織から命を狙われるようになる。ちなみに、ゾンビ犬は何だったのかというと、組織の実験用動物だとか。肉を奪ったのは食料調達とゲーム内では解釈されているけど、死にかけている男に生肉を調達するのはおバカすぎるだろう。おバカなのも嫌いではないが、助けを求めての行動と解釈したい。シナリオ進行的にはまりかと男を引き合わす役割を果たしている。

テロリストに襲われている状況の中、しっかり牛肉を回収している。

このゲーム、シナリオの大筋は、超能力を持った3人の少女達がテロ組織と戦うというシンプルなもの。そんな中、どういう部分が面白さを生み出していたか考えてみた。

まずは、突き抜けた残虐表現。自分はそういうゲームが好きじゃなくて、基本的にはプレイしないんだけど、経験していないだけに新鮮ではあった。

能力バトルということで、ジョジョの奇妙な冒険っぽさがあったな。頭脳戦的な気づきをいろんなところで散りばめてあったので、退屈しなかった。

対話がいい味を出していた。キャラクターに魅力があるからこそだろう。現実では付き合いたくないような気の強い女ばかりだけど、ゲームだと何なら格好良いとさえ思える。

他に面白いと思った点、というよりプレイしていて面白くなりそうだぞと思わせた点。普通のRPGだったら、通常攻撃があって、後からエネルギーを消費するような魔法なりを覚える。このゲームは逆で、まりかが超能力を発現させてしばらくの間は通常攻撃が存在しない。シナリオ上でも同様なので、敵もガス欠狙いの戦い方をしてくる。このままではまずいと思ったまりかは、直接超能力を使うのでは精神力の消耗が激しいので、物質(武器)を媒体として超能力を伝導させることを考える。その試みは成功して、精神力を消耗しない通常攻撃が使えるようになる。この一連の流れはオシャレに思えた。シナリオとゲームシステムに繋がりを持たせている。このゲーム内では同様の表現がいくつか見られた。今でこそ見かけるが、セガサターンの時代にそういう手法が採られていたことに驚かされた。

これは面白いかよく分からないが、このゲームの街には信号機があって、青にならないと横断歩道を渡れない。待ちが発生する。不評なシステムだけど、非日常に変わっていく中で、日常を強く意識させたかったのかもしれない。日常をしっかりと描くから非日常が色濃くなる。

お気に入りの登場人物について。

かなめさん

超能力少女のひとりで、気高い。最終決戦の前に、他の少女達は家族に連絡を取るなどの場面描写があった中で、何もない。実は、何もないことによって訴えかけるものがある。自分は、この何もない部分をこのゲーム一番の名場面、もとい名無場面に挙げたい。

最後に触れておきたいこと。ゲームのクリア後、プレイ動画を見直していて気づいた。序盤のまりかと友達の会話。まだ、まりかに超能力が発現していないときに、超能力の存在を信じるかどうかの話になる。その友達は最後に「超能力があったら正義の味方になる」と言う。これは、2周目をプレイする人に向けて仕込んでいるセリフだと確信した。1周目をまりか達と一緒に(超能力を使って)戦ったからこそ突き刺さる。正義の味方なんてそんなに簡単じゃねーよと言いたくなった。